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"林間の家"を通して.その4

4回目は、調湿のお話ですー

 

人にとって快適な湿度は、40%〜60%。

ところが、夏は高温に加え、湿度が70%を超え、とても不快。。。

エアコンなしでは快適に過ごすことができない。

 

一方、冬はエアコンやシステム暖房等などにより暖かく過ごせるが

過乾燥となり、加湿器を使わざるを得ない状況も珍しくない。

 

昨今の高気密・高断熱化で

冬は暖かく、夏は涼しい家が当たり前となってきましたが

湿度までうまくコントロールするのは、なかなか難しい。

 

機器類で徹底的に温湿度を制御、管理する選択肢もあるが

私個人的にはしっくりこない。

機器類のランニングコストやメンテナンスが心配である。

建物の高性能化によりランニングコストを抑えることはできたとしても

複雑な設備はメンテナンスが大変。

設備はシンプルな方が良いと、私は考えています。

 

できるだけ機器類に頼らず、快適に暮らせる家が理想的と思っていますので

WB工法やKANSOの思想には共感する部分が多いわけです。

 

 

さて、前置きが長くなりましたが

今回書きたいのは、仕上げ材による湿度です。

 

"林間の家"の主な内部仕上げは、施主Kさんの強い要望により珪藻土でした。

調湿性能が高いことが理由です。

 

私は、珪藻土について特別な知識があるわけではなく

「調湿効果のある仕上げ材」という程度

おそらく一般的ものでした。

 

ところが、"林間の家"で採用された「MPパウダー」という珪藻土に出会い

珪藻土の本当の良さを知ることができました。

 

 

実は珪藻土にも種類があるということも

恥ずかしながら、初めて知りました。

 

簡単に書くと

湿気を”どんどん吸うもの"、"あまり吸わないもの"があり

その違いは、珪藻土の孔の大きさよるということです。

 

珪藻土にはナノサイズという大変小さな孔を持つ材料でつくられるのですが

産地により孔の大きさが違い、調湿機能に違いがあるということなのです。

 

湿気取りなどでよく知られている備長炭は

「ミクロポア」という大変細かい孔(2nm以下)で湿気をどんどん吸うが

一杯になっても放出できない。

一杯になると、もう吸わなくなる。。。

 

また、多くの珪藻土は「マクロポア」という比較的大きめな孔(50nm以上)であり

実は吸湿性は期待できないとのこと。

 

△孔の大きさによる特徴を説明(クリックで拡大します)

 

2〜50nmという孔である「メソポア」珪藻土のみが

吸ったり放出したりという調湿機能があるという事実。

 

高温多湿の夏は、吸湿することで蒸し暑さを抑え

エアコンの稼働を減らすことができる。

また、湿度の低い冬は、浴室などから発生する湿気を吸湿し

放出することで過乾燥を抑えることができるのが

「メソポア」であるMPパウダーの最大の特徴です。

 

△「MPパウダー」はLDKだけでなく個室にも採用。

 塗り方を変えたり、色を変えたりすることで調湿だけなく

 表情の変化を楽しむこともできるのが塗り壁の面白さですね。

 

△2階の予備室兼書庫の壁・天井にも「MPパウダー」

 

屋外は30度を超える蒸し暑い日にもかかわらず

エアコンなしでも、"もあ〜"とした感じはなく

空気が軽く、爽やかさに感じました。

 

なるべく機器類に頼らず

(全く頼らないということではない)

快適な空間をつくるためには

また、過ごす人の健康を考えると

調湿が重要であることを学び

体感することできた"林間の家"でした。

 

<続く>