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"林間の家"を通して.その2

2日目は、プラン(間取り)のお話ー

 

施主のKさんから正式にご依頼があったのと同時に

プランを渡されました。

もうプランが出来上がっていたのです!

 

Kさんは”家相"へのこだわりが強く

ご自身でも勉強されておりましたが

私が一番驚いたのは

「家相専門の建築士」にプランをお願いしていた、ということでした。

渡されたのは、その建築士が描いたプランだったのです。

 

家相を専門とする建築士がいらっしゃるんですね。

知りませんでした。。。

 

今までにお会いした方のなかには、"気にする"という方はいらっしゃいました。

が、Kさんは今までお会した方とは別格でした。

よく言われる鬼門・裏鬼門に留まらず

窓の位置まで家相によって決まる。

 

私は家相に対しては、特に肯定も否定もしないスタンスをとっています。

太陽は東から登り西に沈み、地球が自転しているという大原則がある限り

方角による特性があるのは当然のことです。

家相から学ぶへき点も多々あります。

 

とは言え、敷地それぞれに特徴があります。

敷地の向き(道路の方角)や眺めの良い方向もさまざまです。

私はその敷地や周辺環境の特徴を読み解き

その敷地に合わせて設計することを信念としてきましたので

敷地にかかわらず、方角だけで決まってしまって良いのだろうかと。。。

 

Kさんは、「ここに大きな窓を開けた方が良いのでは」などの私の意見にも理解を示した上で

それでもやはり家相を優先したいという意向でしたので

私は、プランに関しては一歩引き

「渡されたプランをより良いものにしよう」

「プラン以外で期待に応えよう」と

気持ちを切り替えて進めてきたプロジェクトだったのです。

 

 

渡されたプランの廊下は家の中心部で折れ曲がり、閉鎖的なイメージでした。

そこで、廊下をまっすぐ通し、窓を設けることで通風と視線の抜けを確保。

また、暗がりになりやすい中央部に階段を設けることで

2階からの光を取り入れるプランに修正しました。

 

 

△廊下突き当たりを窓にした実例_まちを望む家

 家の端が明るく、そして視線が抜けることで

 風通しが良くなるだけでなく、家が広く感じられる効果もうまれる。

 

△入れ子状にすることで、隅々まで視線が通る実例_はじまりの間のある暮らし

 

上の二つの実例でもそうですが、私は設計する上で

視線の抜けや広がり、空間のつながりを

強く意識していること、手癖みたいなものがあることを

改めて感じることができました。

 

 

家相を取り入れることが得意とは決して言いませんが

確実に設計の引き出しを増やすことができた"林間の家”でした。

 

<続く>