先日、秋田県美郷町にある「もるくす建築社」を訪れ
「kANSO」という建築思想で建てられた社屋の見学とセミナーに参加してきました。
以前にオンラインでのセミナーを受けていましたので、
思想や工法の概要は知っていましたが、
やはり、”建物を実際に見てたい!”と思い
遠方ではありましたが、山川建築事務所・山川さんと一緒に伺ってきました。
△もるくす建築社・美郷アトリエ(アプローチのある北面)
空気循環のための"越屋根”が特徴的
△セミナーでは、思想・工法など基本的なことから
室温、湿度など実測データをもとに建物内の環境について
調熱・調湿について、報告がありました。
新潟よりも先に冬が近づいていた秋田でしたが
屋内は無暖房でも温かく、前日の日射・蓄熱の効果を実感
いやー、伺って本当に良かった。
空気感や心地良さを体感することができたこと
そして、何より、"求めていた建築"に出会えた
そんな瞬間でした。
△南面には、日射取得のためのワイドな開口。
ここから望む山々がとても綺麗でした。
では、その「KANSO」について少し詳しく書きたいと思います。
KANSO=”簡素”
"Less is more"(少ない方が豊か)をモットーに
「自然のマテリアルの特徴を活かし、機械設備を最小限に抑えて建てる」
建築思想・工法です。
スイスの大工・建築士 サシャ・シェアさん、もるくす建築社の佐藤社長、
ドイツ在住の森林環境コンサルタント 池田さんの3名で立ち上げたプロジェクトであり
今回伺った美郷アトリエが建設一棟目となります。
温故知新ー
昔からある、当たり前にある”自然な素材”を使い
断熱だけでなく、蓄熱・放熱・調湿といった
計算式ではなかなか表しきれないことに目を向け
人間にとって本当の快適性を求めていました。
土と木とガラス
そして、少しのコンクリート
そんな素材だけで、快適に暮らせたら最高です。
目指すべき建築、新しい目標が明確になった
とてもとても貴重な一日となりました。
△外壁の構成が分かるモックアップ(実寸模型)
新建材・化学的なものが使われていない、まさに"木の塊"
屋内側(左側)から、柱ー木パネルー木質断熱材ー外壁(杉板)
柱(縦ログ)がそのまま内装・仕上げとなる構成です。
△解体現場の柱や木材をも利用した木パネル。
木材の再利用・アップサイクルまで考えていることに脱帽です。
所々、"欠き"があることで空気溜りができ、断熱効果が上がるとのこと。
△南面の通路
アトリエの床は主に土間コンクート。
蓄熱のスピードを上げるため、表面には"土"が混ぜられている。
右側の白壁は"土壁”(仕上げは漆喰)
南からの日射を土間床とこの壁に蓄熱させている。
△南面の眺望
田園と山々を望む、素晴らしいローケーション。
△軒の出は1.5m
夏の暑い日差しを遮るだけでなく、積雪から外壁を守る。
△帰り際、窓外から撮ったミーティングルーム
照明が低めにポジションされ、落ち着き具合を引き立てています。
思想も造形も、全てが美しいアトリエでしたー